移動ロスが少ない運足とは・・・
出来るだけ、上下動が少なく、かつ摩擦抵抗の少ない移動です。
※移動ロスが多くなる・・・移動スピードが遅くなる。
物理的に言えば当たり前です。上下動しない水平移動が最短距離で
の移動であり摩擦抵抗が少ないほど、素早い移動が可能になります。
ただ、床面を水平移動する場合、摩擦抵抗がどうしても発生します。
如何に摩擦抵抗を低減するかが、カギとなってきます。
※物理学の付録 ← 興味のある方はクリックしてみてください。
新しく開きます。
(1)摺り足運足と跳躍気味の運足
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大抵の合気道道場(主に合気会や養神会系列等)では、摺り足の
運足を基本としている道場が多いのではないでしょうか?
合気道の教本を見ても、摺り足で運足するとは、一言も書いていない
ので、勘違いでしたら、ごめんなさい。
ただ、『スッスッスッ』と畳の上を水平に動いているのは確かです。
あるいは摺り足ではなくて、『できるだけ畳上を擦らないように軽い
フットワーク(運足)で、かつ上下動せずに移動する』という表現が
正しいのかも知れません。
ところが、藤平光一師範が築いた心身統一合氣道(氣の研究会)は、
跳ね上がるような運足を行っています。下記URLのYoutube動画
サイトを参照してください。
・Aikido ( Koichi Tohei )
http://www.youtube.com/watch?v=sh3S3RX5JPM
横面打ちが一番分かりやすいかと思います(転身での移動量が多い
ため)。26:30から横面打ちです。
・Koichi Tohei : Strength vs Ki - Aikido
http://www.youtube.com/watch?v=MuZdxhA_h4Y
お弟子さん達も跳ねながら体捌きを行っているのが分かるかと
思います。※3:28の横面打ち入り身投げや横面打ち四方投げ、
それから8:08からの体捌きと正面打ち入り身投げが、分かり易い
かと思います。
このような運足を跳躍気味のステップと呼ぶことにします。
我が道場にも、心身統一合氣道出身の先生がひとりいて、摺り足
ではなく跳躍気味の運足を奨めております。上下動でリズム感の
ある体捌きが良いと仰っています。摺り足では、移動ロスが起こる
ことを当の先生も仰っております。摺り足と跳躍気味ステップの運足
の長所と短所をそれぞれ下記に示します。お互いに相反しています。
@摺り足
長所:上下動(跳躍)する分の移動ロスがない。
短所:床面に擦るため摩擦抵抗あり、その分移動ロスがある。
A跳躍気味のステップ
長所:床面に擦らないので、その分の移動ロスがない。
短所:上下動する分の移動ロスがある。
@とAの中間が理想的な運足と思います。
当の先生が仰るように、横面打ちでの転身の捌きが大きい場合、
移動量も多いため、摺り足では追い付かず、跳ねた方が、素早く
移動できる感じです。
※横面打ちの足捌き(転身=内転換)の角度には、60°、90°、120°
があります。60°のような狭い角度では移動量も少ない為、摺り足でも
可能ですが、120°にもなると、跳躍等何らかの手段で足を床面から
離して、床面と摩擦せず移動することが必要になってきます。
正面打ち入り身投げにおいても、初動の入り身は一足飛びに、受けの
斜め後方へ入り身します。摺り足では追い付かないと思います。
上下動し過ぎは確かに良くないと思いますが、一足飛びに入り身する
場合、多少身体を浮かせる移動が必要になってくるでしょう。
芦原空手のサバキでも入り身の距離が大きい為、おそらく一足飛びに
身体が多少浮いたフットワークに成っているのではないかと思います。
関連ブログ記事:芦原空手
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(2)居着き
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跳躍気味のステップに関しては、賛否両論があるようです。
確かに、摺り足に関しては、武道一般で広く言われている『居着き』
が生じますし、移動量が多い体捌きになると不利になるでしょう。
居着き:
相手の動きに対応できない状態になること。疲れたり、迷ったりして、
心身のバランスが崩れて、動きが止まってしまったときなどに起こる。
剣道、スポーツチャンバラでよく使われる言葉。他に空手や日本拳法
等の格闘技の試合でも、運足の状況によっては当てはまる言葉です。
居着きを無くす為、跳躍気味にステップするのは心身統一合氣道だけ
ではありません。他の武道・格闘技全般に見られることです。空手道、
日本拳法、剣道、フェンシング、ボクシング、キックボクシングでは、
常時ポンポン跳ねながら移動しています。
それらの武道・格闘技では、その場に留まっている場合でも、ポンポン
跳ねています。次の攻撃や保守体勢に素早く移れるよう機会を伺って
いるわけです(下図参照)。
▲キックボクシングや空手の試合:日本拳法や剣道等でも跳ねます。
試合が無いからなのか、どうかは分かりませんが、心身統一合氣道
では、その場に留まっている場合に限っては、他武道の如くポンポン
跳ねてはいませんけどね。
先の結論でも申し上げましたとおり、上下動が無く、かつ摩擦も無い
ステップが一番移動ロスが少なく、効率の良い運足になるでしょう。
我が合気道道場では、上記以外の先生で、そのように申していた先生
もおりました。
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(3)上下動なしの運足でも、素早く動くには・・・
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1.半身の歩幅を狭める
合気会の師範で、大澤師範(現七段)がいらっしゃいますが、両足の
間隔を肩幅くらいに置いた半身の姿勢を取っています。半身としては
両足の間隔が狭い体勢です。
一般的には、両足の間隔を肩幅よりも広く取った半身の姿勢が多く
採用されていることでしょう。
下記に、両足の間隔が狭い場合と広い場合との長所や短所を比較
してみました。
@両足の間隔を狭くした場合
・長所:素早い移動が可能(フットワーク=運足 が軽くなる)
・短所:安定性が悪くなる。
A両足の間隔を広くした場合
・長所:安定性が良くなる。
・短所:居着きやすい。素早く動けない。
ただ@のように、両足の間隔を狭く取った場合、長時間の維持は
かなり疲れると思います。足腰が強靭な大澤師範だからこそ、可能
なのではないかと思います。
※大澤師範は元ボクサーだったとか。元ボクサーだからこそ狭い歩幅
の半身スタイルなのかも知れません。
2.その他の方法
ネットや書籍で色々調べると、空手道で『上下動による跳ねるような
フットワークは良くないと』述べておりました。
※でも試合のときは、ポンポン跳ねているように見えますけどね。
では、どのように運足するのかというと、『つま先を浮かせて、
踵で押し出すようなフットワーク(運足)が良い』とのことです。
あれ? だから、『踵荷重が良い』という事なのでしょうか?
ネット上で見かけたのですが、つま先荷重や拇指球(親指の付け根)
での荷重よりも、踵荷重を推奨する合気道の先生がおられます。
これは踵だけに荷重して、接地面積を減らすという事かも知れません。
どなたかこの点について、詳細をご教授頂ければ幸いです。
関連ブログ記事:
自分の脳を操る・・・効率の良い力を出すのは正しい姿勢(外旋)から
※上記記事の中盤から後半に差し掛かったあたりで、踵荷重に
ついての話があります。
ただ、踵寄りの荷重は、安定性に欠けると思います。
拇指球荷重は、転換のような回転動作があるときに必要ですが、
『運足一般では、足裏全体で荷重する』が正しいのではないかと
思っておりました。
※バスケットボールのピボットターンやスキーのターンでも拇指球に
荷重する場面があります(合気道の転換にも共通するコツです)。
関連ブログ記事:体軸(センター)について その3 「スキー」の場合
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何分個人的見解が含まれるかも知れません。読者の皆さんは
それぞれの合気道道場の先生の教えに従ってください。
また、我々合気会の合気道よりも上下動が多い心身統一合氣道の
技法を否定しているわけではありません。合気会は基本上下動が
少ない足捌き・運足ですが、色々な流派で異なる考え方があって
然りだと思います。
他流派の考え方も、時には検証・研究しても良いのではないで
しょうか?色々と試してみることも必要かも知れません。
ただ道場での稽古の時は、それぞれの流派や先生の指導に従うべき
です。『基本も出来ていないにおかしな事をやるな!』、『誰がそんな事
を教えた?』 と怒られないようにしましょう。
読んでいただき、ありがとうございます。
合気道ブログで日々の稽古を考える。
紹介:札幌で合気道するときは・・・札幌合気道会について
物理学の付録