2015年08月22日

精度の高い体捌きを目指す5(突きや正面打ちに対応する足捌き・六種類)

合気道技の基本は体捌きにあり。今回も以前と同様、
足捌きに重点を置いて考察してみました。

関連ブログ記事 :
精度の高い体捌きを目指す4(四つの体捌き)』の
続編的記事になります。

入り身や転回などを複合的に組み合わせた体捌きを含め、
受けからの正面打ち、突きに対応する捌き方は、以下
六種類あります(下図参照)。


突きや正面打ちに対応する足捌き・六種類

以下、「技例」における合気道技は、突き・正面打ち以外
の攻撃方法から始まる技も、該当するものを含めて
掲載しました。

[1]直進の入り身(前進)・・・Straight, Forward
   前方へ直線的に入り身する。
   技例:突きの入り身(直進型), 天地投げ(直進型),
   一教系(表)、各種隅落とし(正面打ち、片手取り)、
   横面打ち五教(表・裏 短刀取り)の最初の捌き、
   横面打ち四方投げ(裏)の直進入り身型、
   横面打ち入り身投げ直進入り身型 他
天地投げ(直進型)
[2]直進+転回 同時の入り身
   前方へ直線的に一足で入り身しながら、同時転回する。
   体捌き完了時は、自身の向きが180度変わっており、
   相手(受け)と同じ方向を見ている状態となる(半身も
   同じ向き)。一気に捌く。
   技例
   正面打ち入り身、突き入り身(斬り下げ・直進転回型)、
   片手取り・交叉取り入り身投げ(斬り上げ、斬り下げ型)、
   横面打ち入り身投げ(斬り上げ、斬り下げ型)の横面打ちを
   捌いた後の側面への入り身 他

   ▼正面打ちからの入り身(直進入り身+同時転回)
正面打ちからの入り身

正面打ち入り身投げ
[3]内回転の捌き
   内回転投げのときの捌き方。通称『暖簾(のれん)くぐり』。
   体捌き完了後は、受けと対照的(半身が逆)に並ぶ。
   180°転回。
  ☆片手取りの捌きと比較できるように、a型に片手取り、
   b型に突き・正面打ちからの捌きとして記載しました。

   [a型]:2足の歩み足で入り身して、受けと反対側へ
   転回する。回転投げはこちらの捌き方に該当する。
   技例: 各種内回転投げ(正面打ち、突き、片手取り)
   [b型]:一足で素早く入り身して、受けと反対側へ
   転回する。回転投げ以外の突きや正面打ちに対する捌きは
   こちらの型が該当する。
   技例: 突きの立ち技呼吸法
   この技は、素早く受けの側面を移動する必要がある為、
   前足と後ろ足の前後関係を入れ替えながら一足で素早く
   入り身する(半身が反対になる)。

         ▼内回転投げの体捌き(片手取り)
内回転投げの捌き

[4]外回転の捌き(外転換)・・・Outside
   入り身と同時に転換する。外回転投げや各種裏の技で
   外転換する。体捌き完了後は、受けと対照的(半身が逆)に
   並ぶ。
   技例
   各種外回転投げ(正面打ち、突き、片手取り)、
   一教系(裏)、両手取り天地投げ(転換型)、
   外転換で誘導してから入り身する各種技
   (各種隅落とし、各種回転投げ)、各種小手返し
   (正面打ち、突き、片手取り、横面打ち)、
   立技呼吸法(裏)、各種入り身投げでの転換、
   各種四方投げ(裏)他
転換の稽古   正面打ち入り身投げ   立技呼吸法(裏)   小手返し   片手取り四方投げ(裏)
[5]転身・・・Inside
   前足を入れ替えて、斜め後ろへ引く体捌き。
   ※横面打ちからの転身の場合よりも円みが少ない捌き。円く捌くと、
     円く引いた方へ相手の当身(突きや正面打ち)が追っかけて来る。

   技例
   横面打ち各種技の最初の捌き(四方投げ(表)、入り身投げ
  (斬り上げ・斬り下げ型)、小手返し、一教系(表・裏))、
   突きの一教系、突き入り身(斬り上げ型)、肩取り一教系、
   片手取り一教系、片手・両手取り四方投げの転身から始める
   捌き、交叉取り・両手取り一教系の最初の捌き、
   転身で誘導してから捌く各種(逆手の)天秤投げ 他
横面打ち四方投げ    肩取り二教(表)
[6]後退の入り身・・・Backward
  (1)転回足を使う場合
   後退(受けの通過する道を空ける為、僅か斜め後ろ)して、
   転回足で腰を回転させて投げる。
   技例
   片手取りで手首・肘を極め転回して後方へ投げる呼吸投げ、
   両手取りから転回して後方へ投げる呼吸投げ(多人数掛け
   でよく使われる技)。※実際はスピードが速い為、転身しながら
   捌く場合が多い。

   突きの呼吸投げ ※後退しながら誘導し、手捌きは3回ほど僅かに
   上下動させる。1・2・3で投げる。

  (2)転回足を使わない場合(後退のみ)
   後退(受けの通過する道を空ける為、僅か斜め後ろ)して、
   投げる。
   技例
   両手取り、幽霊の手⇒万歳して上げ下げし投げる呼吸投げ。

※アイコン画像は全て、道友Aiki_Ageさんから提供して頂いたものです。

☆これら6つの足捌きの他に、実は内転換(内側に外転換)する
  体捌きもあります。※第7の足捌き。
  内側に着座しながら転回足で投げる技もあります。
                      ※第8の足捌き。
  技例:正面打ち一教投げ、横面打ち順手の天秤投げ など
  しかし、以前のブログ記事同様、静止状態から行う捌きでは
  ないため、今回のブログ記事からは外しております。
  動きの中で受けを崩しながら捌く体捌きであるからです。
  ※上記[5]の転身から内転換(内側へ外転換)へ移行する捌きも多い。
  関連ブログ記事:内転換のもう一つの解釈?
 

これら体捌きに、斬り上げ・斬り下げ・抜き手等の手捌きや
腰の回転、膝を動かしての重心の上げ下げ等が加わり、様々な
合気道技が成り立つわけです。

即ち、足捌きや手捌きの組み合わせが変化することによって、
色々な技が成り立っていると言えるでしょう。

基本(土台となる足捌き)を覚えれば、後は手捌きなど、
細かい部分をプラスして覚えていけば良いということに
なります。

関連ブログ記事:
入り身の目的
受け重視?取り重視? 技はかけるのではない、有効な体捌きの結果生れる!
基本は体捌き(足捌きは重要)
精度の高い体捌きを目指す1(足捌き基本要素・四種類)
精度の高い体捌きを目指す2(転換は入り身+転換)
精度の高い体捌きを目指す3(相半身と逆半身)

こういった足捌きのみの稽古を行うのも、合気道の基本に
立ち返えることが出来て良いかも知れません。ただ、動きたい
汗をかきたい人にとっては苦痛かも知れませんね。
道場以外の場所の一人稽古としてひたすら行う内容としては、
適しているでしょう。

図では、取りが右半身から開始する場合のみを描いていますが、
勿論、左半身から開始する場合も行なって、左右バランス良く
稽古することをお忘れなく!合気道の稽古にとっては重要です。

関連ブログ記事:体捌きのみの稽古


読んでいただき、ありがとうございます。

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2015年08月13日

内転換:巻き込み型入り身投げの足捌きは少し違う。

本日も、前回ブログ記事同様、内転換に関する内容です。
前回ブログ記事からの続編的内容となります。

結論から言いますと、同じ内転換(内側に内転換)でも、
厳密には二種類あります。

逆半身片手取りで行う、天地投げの天だけで捌く内転換と、
相半身交叉取り小手返しの足捌きは同じですが、
相半身交叉取り(巻き込み型)入り身投げの足捌き
のみ異なります。


(1)前回のおさらい---------------------------------------
以前のブログ記事にて、
相半身交叉取り(巻き込み型)入り身投げ と、
相半身交叉取り小手返し について、足捌きが
共に内転換内側に収束する転換)であると述べました。

関連ブログ記事 :
四つの体捌きの内のひとつ : 内転換

内転換は、逆半身片手取りで行う、四つの体捌きの内の
ひとつです。合気道技の基本となる体捌きの内のひとつ
です。逆半身片手取りでは、天地投げの天で投げる捌き
方となります。

関連ブログ記事 :
精度の高い体捌きを目指す4(四つの体捌き)


(2)足捌きの違い---------------------------------------
足捌きに関して厳密には、交叉取りの巻き込み型
入り身投げの場合だけ、他の二者よりも軌道が円く、
体の方向と半身の向きが異なっています

※他の二者:相半身交叉取り小手返し、逆半身片手取り(天地投げの)天

文章のみでは、分かり難いかと思います。
下の図を参照してください。

  小手返しと天地投げの天における足捌き

  巻き込み型入り身投げの足捌き

交叉取りの巻き込み型入り身投げだけ、転換円が円く、
他の二つ(交叉取り小手返しと逆半身の天地投げの天)は、
直線的かつ鋭角的な軌道の捌き方となります。

※上記で、直線的と表現していますが、巻き込み型入り身投げに
  比べ直線的という意味です。円みは少ないが円状に捌くことに
  変わりは、ありません。


鋭角的というのは、転回足と同じように急激に180度向きが
  変更されている状況の表現です。


直線的かつ鋭角的な軌道とは・・・分かりやすく言うと
楕円形状の軌道です。所謂、潰れた円です。

加えて、半身の運用も変わってきます。

交叉取りの入り身投げ(巻き込み)は、90度方向に体(たい)
の向きが変わりますが、半身が入れ替わらず、同じ向きの半身
となります。

(体捌き前が右半身なら、体捌き後も右半身、
 体捌き前が左半身なら、体捌き後も左半身)
巻き込みの内転換後、ほんの少し前進の入り身を行うのが
ポイント
です。

交叉取り小手返し逆半身片手取り(天地投げの)天では、
180度方向に体の向きが変わり、半身が入れ替わります。
(体捌き前が右半身なら、体捌き後は左半身、
 体捌き前が左半身なら、体捌き後は右半身)
小手返しでは内転換後、大きく前進の入り身を行います。
あるいは、受けとの間合い等、状況によっては、内転換後、
前進せず、後退気味に体を開いて崩す場合もあります。
(※後ろ足を軸に、前足を円く引いて体を開く)

※交叉取り小手返しや逆半身片手取り(天地投げの)天の場合、
  丁度、直線状に入り身しながら転回足で180度
  反対方向へ向くのと結果的には同じです。しかし、
  直線状の入り身ではなく、円く捌いて180度
  向きが変更される体捌きです。直線状に入り身を
  行うと、「」の手捌きにおいて、受けの腕が
  肘の箇所で屈曲した状態となるでしょう(下図)。
  以前の記事で、藤田師範が『これダメ』と発言した
  事を示した内容です。足捌きと手捌きを共に円く
  連動させないと上手く相手を導けない
ということです。

  天の形の良い例と悪い例

関連ブログ記事:
四つの体捌きの内のひとつ : 内転換 > (3)手捌きにおける注意点


(3)手捌きに関して---------------------------------------
逆半身片手取りでの内転換では、手捌きが天地投げの
天だけで投げるように、中段⇒上段への捌きとなります
(上図「天の形の良い例」参照方)。

対して、相半身交叉取りでの手捌きは、小手返しでは
中段での捌きとなります。
巻き込み型入り身投げでは、中段⇒上段への捌きとなります。

足捌きが同じで、手捌きでは、片手取りと交叉取りの
持ち方または技により違いが生じているということになります。


(4)まとめ----------------------------------------------------
相半身交叉取り(巻き込み型)入り身投げの場合だけ、
足捌きが異なってきます。

冒頭の繰り返しになりますが、同じ内転換(内側に内転換)
でも、厳密には二種類あるということです。

合気道の基本は体捌きです。
表側の体捌きも、しっかり稽古していきましょう。


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2015年08月09日

内転換(内側に外転換)は、隅落とし系と近似の崩し。

今回記事は、前々回記事の続編的な話になります。
前々回ブログ記事:
四つの体捌き図解追補 : 受けと取りの対面関係

ブログ記事タイトル中の「隅落とし系」とは・・・
相手を後ろ隅に崩す技のことを指します。

該当する合気道技として、隅落とし、小手返し、四方投げ
などです。

後ろ隅に崩すとき、受けは後ろ受け身を行う場合が
多いですが、身体が投げる方向へ向いたときは、前方へ
飛び受け身を行うことになります。

この前方飛び受け身の体制になったときの、お互いの
立ち位置が内転換(内側に外転換)で捌く合気道技の
場合と、同じである
ということです。

取り:外(裏)  対  受け:内(表)

文章で書くと、分かり難いかと思いますので、下の絵を
参照してください。左が小手返し、右が内転換(内側に
外転換)からの呼吸投げです。

小手返し 内転換(内側に外転換)からの呼吸投げ
▲隅落とし系(小手返し) |  内転換(内側に外転換)からの呼吸投げ▲

取り:外(裏)  対  受け:内(表)の立ち位置の関係ですが、
受けが崩れていない状況だと、取りが不利というのが
前々々回のブログ記事の内容でした。

前々々回ブログ記事:内転換のもう一つの解釈?

でも、受けがしっかり崩されている場合は、合気道技として
成り立つ体捌きである ということでした。

隅落とし系崩しの技(隅落とし、小手返し、四方投げ)に
関しても、同様に崩されていれば、取りが背中側を受けに
見せていても、問題無いと言うわけです。


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