まぁ聞いてください。
(1)取り(仕手)側の話
合気道の稽古では、「受けを練りなさい」とか、「取りに合わせて」
とか、「抵抗せずに素直に受けをとりなさい」などと聞きます。
しかし、「崩れてもいないのに、受けを取るな」と言う指導者もいます。理由は、馴れ合いの稽古になってしまうからです。崩しを重要視する指導者や先輩の場合、崩しが甘いと、いつ迄経っても技が掛からない状態に陥ります。傍から見ると、技が掛からず抵抗されている状態に見えてしまいます。
私は、白帯の頃から、よくこういう状態に陥った事がありました。当時、「なぜ、この人は抵抗するのか?」さっぱり分りませんでした。体捌きが甘いとか、崩しが甘いという事も、全く分らない初心者なので、抵抗されると、余計力任せに技を掛けようとしていました。
「そんなに力任せにやったら、いつ迄経っても、抵抗されるだけだぞ!ヴォケ!」と罵られた事も度々
そういう事もあり、当時は、何だか釈然としない気持ちで稽古をしていたこともありました。それでも、合気道はやめませんでした。
返し技を掛けられたこともありました。私が取りで、ある指導員に受けをとってもらった時、崩しが甘かったのか、別の技で返し技を掛けられてしまいました。
ビックリしましたね(>_<)。五級になったばかりの白帯さんでしたから・・・。 今考えると、私は体が大きいので、実験台にされちゃったんでしょうね。その指導員の返し技の研究の為に・・・(汗)
ホント、白帯時代は、柔道のような合気道をしていたのかも知れません。体が大きいから余計に腕力があると見られて、とにかく「脱力」を求められました。
技術の向上は、モノを吸収する場合と、余計なモノを削ぎ落とす場合との二通りあると聞きます。合気道では、脱力することが、余計なモノを削ぎ落とす第一歩なのかな?と感じましたね。
柔道の源流のひとつに起倒流柔術という古武道があります。起倒流の一派である野田派の稽古では、形の残り合いと言って、技の掛かりが甘ければ受けが反撃するような型と乱取の中間的稽古方法をとったそうです。
まさにこれだと思いました。今考えると、白帯初心者にあそこまでするのはどうかと思いましたが、型稽古の陥りやすい「馴れ合い」を防止する為には、必要な事なんだなと思いました。
合気道を始める目的は人それぞれですが、護身術としても使える合気道を目指すのであれば、なお更重要ですね。
今はもう袴を穿いてしまいましたが、自分がされて嫌な事は当然しません。白帯の人と稽古するとき、相手が力任せだったり、変な方向へ引っ張ったり押したりした場合は、動きを止めて抵抗するのではなく、正しい方向へ誘導するつもりです。
とは言え、私もたかが初段(されど初段?)・・・。「教える」だなんて偉そうなことを言うつもりはないです。”相手(白帯の人)が?マークの時は、分る範囲で助言、そして自分も一緒に学ぶ(稽古する)”というスタンスです。
相手が充分に崩れていれば、抵抗されずに(当身も喰らわず)、倒す事が出来る という当たり前の話でした。そう成るには、適切な間合いや、入り身・転換による体捌き(相手の死角に入ることも含めて)が、重要です。ですが、相手が変ると、これが中々思い通りにいかないんです・・・。稽古相手の身長・腕の長さ・体や関節の柔軟性などなど・・・
千差万別なところが、合気道を稽古する上で楽しいところなんですが。
大柄で、体や関節が硬い人は確かに崩しにくいですが、どんな人も崩せるようになることが、稽古の究極の目標と思います。最近は、崩しにくい相手に出会ったときは、そういう意味で、絶交のチャンスだと捉えています。
(2)受け側の話
受けを練ることは、取りを理解する事につながる為、やはり重要です。また、ただ崩されっ放しの漫然な受けをとるのではなく、態勢を素早く立て直す事が出来る受けが理想です。素早く態勢を立て直せば、反撃態勢へスムーズに移行できる訳です。その為には、柔軟性のある受身が必要ですね。
取りが受け手に、技を掛けやすいように「崩れてくれ」などと、注文付けるのは、NGだと思います。それは、体捌きが出来ていないのに、受けが勝手に崩れるのは、稽古にならないからです。これこそ全くのヤラセに成ってしまいます。
ただし、受け手に注文できるケースはあります。指定の技を稽古するのに、受けが指定通りに動かなければ、その技を繰り出せません。例えば、両手取りの技を稽古をするのに両手をしっかり持っていない場合は、技に到りません。こういう時、相手が研究熱心な人ならば、別の技を掛けて来る人もいます(笑)。「だって、両手をちゃんと掴んでくれないんだもん」て言われてしまいます(笑)。
合気道は、自分から攻撃はしない武道なので、受け手(攻撃を仕掛けてくる側)の攻撃内容によって、技が変ってきます。しかも、指定された攻撃方法によって、指定された技を繰り出す という型稽古を行っているのです。※ここでは、片手取りや両手取りなど、当身以外の動作も、”攻撃”に含めています。「手を掴みに行く」という攻撃です。
受け手が仕手の体捌き中に、崩されまいと抵抗すると、痛みを伴なう事が多くなります。抑え技や、関節を制しながら投げる技などは、特にそうです。力がぶつかるからですね。柔らかく受けをとって、力を受け流せば、痛くなくなります。反対に、取りが受けを捌くときも同様です。受けが充分崩れていない内に早まって倒そうとすると、受けも取りも違和感や痛みを伴なうことがあります。前回ブログ記事の「合気道は痛くしないのが理想」で述べたとおりです。
(3)まとめ:技よりも体捌きが重要
技を沢山覚えて、小手先だけで(腕力だけで)投げよう抑えようとするのは、合気道の稽古にとって好ましくないことだと、常々感じています。とりあえず、基本技を幾つか覚えるのは、白帯(4級)までで、あとは体捌きをジックリ練ることに集中すべきではないでしょうか?道場の先輩からも言われました。「基本技を幾つか覚えておけば、土台となる体捌きは一緒」「あとは、土台に壁や屋根を構築していくように応用すれば良いだけのこと」と。
技の手順よりも体捌きをマスターすることの方が重要です。基礎や土台がぐら付いていては、頑丈な建物を建てる事は出来ません。道場のある指導員がおっしゃっていました。技をかけようとするから、手足や体がバラバラに動き、腕力に頼ってしまう。「投げ」や「抑え」技は正確な体捌きの結果ついてくるものです。
かく言う私も偉そうな事は言えません。まだまだ修行中です。これを書いて備忘録にして、自分にも言い聞かせています。
読んでいただき、ありがとうございます。
合気道ブログ|稽古日記 日々の稽古を考える。
紹介:札幌で合気道するときは・・・札幌合気道会について
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