タイミングで、技を繰り出すことが望まれます。
タイミングが早すぎると、相手と力が衝突します。反対に、
タイミングが遅すぎると、これも衝突するか、有効に力が伝達
しないことになってしまいます。
入り身投げを例に取ってみても、分かります。入り身投げは、
複数の体捌きを行いますが、転換後に相手が起きてくるときに、
投げ急ぐと、相手が起き上がらない内に、斬り下げようとする為、
相手と力が衝突してしまいます(下図参照)。絵はAiki_Ageさん
より頂いたものを加工・編集させて頂きました。
投げ急ぐのは、兎に角、『投げよう投げよう』とする意識が
強過ぎるからですね。
初心者の方の受けを取ったとき、投げ急いでいると力が衝突して
いる感じがするので良く分かります。
こういうときは、初心者さんの方でも、抵抗されているように
感じているはずです。
『もう少し、間を持たせてから、投げてみてください』とお話しする
と、投げ急ぎが無くなり、丁度良いタイミングになります。
初心者さんに伺うと、案の定「抵抗されてる感」が無くなったよう
です。技のタイミングが良くなったからです。
これは、自動車のエンジンに例えてみても分かります。ガソリン
エンジンの点火時期が早過ぎる場合、ピストンの上昇とガソリンの
爆発が衝突することと、似ています。
ガソリンエンジンには、シリンダーブロックと呼ばれる鉄の塊が
あり、そのブロックには円筒の穴が開いています。円筒の穴をピストン
と呼ばれる部品が上下に往復運動して、連結したクランクシャフトに
より、往復の直線運動を回転運動に変えています。
上下動するピストンにガソリンの爆発圧力を当てることによって、
回転力に変え、駆動力を得ています。
自動車のエンジンには、一般的に4サイクルエンジンが多く搭載
されています。吸入・圧縮・燃焼(爆発)・排気という4行程で1サイクル
の作業を行っています。
ピストンが最も上昇する位置を上死点と呼び、最も下降する位置を
下死点と呼びます。
4サイクルエンジンは2回転で1サイクルになります。1サイクルの
行程は以下のようになります。下図も参照してください。
(1)吸入
吸気バルブを開き、ピストンが上死点から下死点へ下降して、
混合気(ガソリンと空気を一定の割合で混ぜた気体)を吸い込む。
※ピストンが下降することで、負の圧力(吸い込む圧力)となる。
(2)圧縮
バルブを閉じて、ピストンが下死点から上死点へ上昇して、
混合気を圧縮する。※ピストンが上昇することで、混合気が高圧・
高温になり、引火しやすくなる。
(3)燃焼(爆発)
上死点手前約10°でスパークプラグに点火用の火花を発生する。
上死点で爆発が起こり、ピストンが下死点へ下降する。この行程で
駆動力が発生します。
※上死点に達してから火花を発生させては、タイミングとして遅い。
少し手前で火花を発生させることによって、上死点で爆発力が最大
になります。火花を発生してから、点火するまでにタイムラグがあり、
さらに点火し始めてから燃焼範囲が広がるまで、タイムラグがあり
ます(下図参照)。
※スパークプラグには、電流を流して火花を発生させます。
(4)排気
排気バルブを開き、下死点から上死点へ上昇する時の圧力により、
排気ガスを排出します。
ガソリンエンジンの点火時期は、イグニッションコイルという機器で、
高電圧を発生させ、ディストリビュータ(配電器)と呼ばれる機器で、
点火するタイミングを調整しています。
このとき、点火タイミングがピストンの上昇に対して早過ぎると、上昇
する力(圧力)と爆発力が衝突する事になり、駆動力の発生が非効率的
になるばかりか、異常な高温高圧状態が生まれ、エンジンを傷めます。
通常の爆発の他に、ホットスポットと呼ばれる複数の爆発箇所が発生し
エンジンにノッキング(カラカラという金属の打音)が発生します(下図)。
反対に点火時期が遅すぎても、ピストンの下降に遅れて追いかける
ように爆発力を当てる為、非効率になります。爆発圧力が低くなり、
未燃焼ガス(燃え残りや不完全燃焼)が出やすくなります。
昔の自動車は、点火時期を機械的に調節しておりましたが、今では
電子技術により、自動的に最適な点火時期へ調節するような仕組みに
なっています。
自動車のエンジンは、ガソリンエンジンだけでは、ありません。
ディーゼルエンジンもあります。ディーゼルエンジンは、ガソリン
エンジンとは、燃焼のプロセスが異なります。軽油や重油を燃料とし、
高温・高圧縮にして、自然着火によって爆発させています。軽油は
自動車、重油は船舶や鉄道の機関車に用いられています。詳細は
割愛します。合気道のブログですからね。
また、同じガソリンエンジンでも、4サイクル(4ストローク)エンジン
とは、行程が異なる2サイクル(2ストローク)エンジンがあります。
現在では、四輪自動車に採用されることは、殆どありませんが、
二輪車(オートバイ)に多く採用されています。2サイクルエンジンは、
1回転に1サイクルの行程で動作します。ここは合気道ブログなので
やはり、詳細は割愛します。
また、爆発(燃焼)以外の、吸入・圧縮・排気の各行程はブレーキ
がかかる負の行程であり、ポンプ損失が発生する行程です。ポンプは
電動モータによって駆動され、モータにとって、負荷のかかる装置です。
上記三つの行程は、ポンプのような状態であるため、ポンプ損失で
例えられています。負荷がかかる(ブレーキがかかる)この行程により、
エンジンブレーキが生まれます。
アクセルを緩めると、エンジンブレーキがかかるのは、この仕組み
によるものです。アクセルを緩めると、爆発させる燃料を絞ることにより
爆発力が発生しない為、外部(タイヤ側)から回される状況になり、外
から回そうにも、ポンプ損失で、ブレーキがかかるということです。
下り坂では、適宜シフトダウンを行い、フットブレーキ多用を避けて、
エンジンブレーキを効率的に使いましょう。フットブレーキを多用すると
ベーパーロック現象が起こる恐れがありますので、ご注意を。
ベーパーロック現象とは、ブレーキ液(油)が繰り返しのブレーキ
操作によって、高温になり、気泡が発生する現象です。気泡が発生する
と、気泡の分だけ、ブレーキ液が圧縮され、ブレーキの油圧が正常に
伝達されなくなります。ブレーキペダルの踏み代が無くなり、ブレーキが
効かなくなります。非常に危険です。
この他に、ブレーキの作動面(ドラム式ブレーキのライニングまたは、
ディスクブレーキのディスクパッドの作動面)が高温で焼け過ぎる、
フェード現象があります。ディスクブレーキは放熱性が良いので、
発生する度合は、低いですが、ドラム式ブレーキに多く発生しやすい
現象です。
自動車のエンジンだけではなく、ブレーキ(シャーシ(車台))について
も、触れることになってしまいました。
合気道技を繰り出すタイミングも、エンジンの点火タイミングも、恋愛
のアプローチのタイミングも?! 新しい事へのチャレンジも?!
何事もタイミングは重要です。
読んでいただき、ありがとうございます。
合気道ブログで日々の稽古を考える。
紹介:札幌で合気道するときは・・・札幌合気道会について
もうすぐ4月、新年度が始まります
新しい事を始める方もたくさんおられるでしょうね
ここというタイミングを逃さず新しい事にチャレンジできればいいですね
のほほん人生でのらりくらりの私はどうなることか
のらりくらりと言えば、合気道はそんなイメージを持っていましたが・・・
新年度ですね。『今がチャンス』ということも
多いでしょうね。私ものほほんとしています。
自分一人のときは良いですが、仕事のときは、
煽られまくっています^^;
周囲や相手のペースに合わせていくことも、場合によっては
必要ですね(早い・遅い両方の場面で)。
合気道は、『ゆっくり自分のペース』もOKでしょうけど、
『受けは素早く起き上がれ』の精神からすると、決して
そうでもないような気もします。