私から『少林寺拳法は、当身技が剛法として編纂されていることから
合気道より実戦的かも知れませんね』と返答しました。この内容が
皆様に誤解を与えているかも知れませんので今回記事を記しました。
結論から。
Q1.合気道は実戦で使えないのか?
A1.@合気道を使う者のレベルによる。
Aそもそも、戦ってはいけない。格闘技ではない。
合気道は相手と調和・和合するための武道である。
Q2.合気道は、なぜ試合を行わない?
A2.@勝敗に拘ると正しい理合いが身に付かないから。
Aそもそも、戦ってはいけない。格闘技ではない。
合気道は相手と調和・和合するための武道である。
【A1-@について】
**************************************************************************
1.合気道を使う人のレベルによります。
植芝盛平合気道開祖や塩田剛三先生のような達人であれば、
他の格闘技や武道・武術のプロと渡り合えるレベルだと言えます。
2.実戦で使えるようになるまでは他武道や格闘技より時間がかかる。
空手の方が合気道よりも、実戦レベルに達するのが早いです。
合気道ですと、人によっては10年かかっても実戦レベルに達する
ことが難しいかも知れません。そもそも稽古の目的が、健康のため
という人も居るでしょうから。合気道の稽古目的でも変わる。
例:単純に段で比較するのも正確さに欠けますが・・・
平均的に、合気道初段と空手初段で比較すると、空手初段の方が
圧倒的に実戦レベルに近いと言えるでしょう。
しかし、同じ段でも、やはりその人個人のレベルによると思います。
3.実戦レベルに達するのが早い(即効性が高い)武道ほど相手に怪我
を負わせる確率が高いと言える。即効性と安全性は反比例する。
相手に怪我を負わせる確率で言えば、合気道技の方が安全である
とも言えます※。しかし更に反面、怪我を負わせずに相手を制する
のは、難易度が高いです(要求される技術レベルが高い)。
※合気道でも素人相手に手加減なしに投げると、怪我させる可能性
はあります。難易度が高い合気道であるからこそ即効性は低い。
**************************************************************************
※A1-AはA2-Aと全く同じなので、まとめて最後に記します。
【A2-@について】
**************************************************************************
試合や乱捕りを行うと、勝敗に拘る為、正しい理合いの習得に妨げが
生じます。体捌きで投げるのではなく、力に頼った技に成る恐れが
あります。
関連ブログ記事:型稽古と乱捕稽古の比較(利点や欠点)
柔道も、最初は柔術の理合いを誰もが気軽に習得できるようにと、
スポーツ化・競技化した訳ですが、開祖嘉納冶五郎の理想と反して、
実際には体格が大きく力のある方が有利な武道に成っています。
小さい者でも、大きい者の力を利用し、技術で力を制することが
合気道を始めとする柔術系武道・武術の究極の理想です。
※合気道は関節技で投げる事が多く、乱捕り化・競技化すると危険な
状況が考えられますが、そのような点を改善・考慮した武道が柔道
です。合気道を改善したのが柔道という意味ではありません。
柔術の投げ(関節)技をそのまま試合や乱捕りで行うのは、危険性
が高くなるという意味合いです。
柔道より合気道の方が競技化は難しいのは上記理由からです。
柔術から合気道や柔道が生まれ、別々の道を辿って来ました。
後に試合や乱捕りを行う合気道として、富木合気道、合気道SA、
フルコンタクト合気道などが創始されましたけどね。
**************************************************************************
【A1-A 及び A2-A について】
**************************************************************************
相手を敵とせず、相手を自分の味方にしてしまうこと。調和や和合が
合気道の理念です。開祖は『真の武は愛なり』、養神館合気道創始者
塩田剛三先生は『合気道で最も強い技は殺しに来た相手と友達に
なることさ』という名言を残しています。相手を受け入れ相手と自分が
一つになることを『全てを愛し敵とせず争わない心を持つことが、宇宙
と調和することを意味する』と表現しています。
関連ブログ記事:
合気道には、格闘技に回帰した流派もある
格闘技から愛の武道へ
また、勝敗を決めると勝った者は気分が良いけど、負けた者は、負の
感情を抱くことになり、これも和合の理念に反することになります。
『勝敗に拘らない』のも、合気道の考え方のひとつです。
**************************************************************************
記事の最初にある『合気道より実戦的かも知れませんね』と返答した
事につきましては、『合気道よりも少林寺拳法の方が実戦ですぐに
使いやすい武道ですね』という意味です。即効性が高いという意味
です。また合気道は精神修養性が高いというのもA2-Aが理由です。
ネット上では合気道を「弱い武道」、「使えない武道」とか「踊り」とか
揶揄されることが多いです。そのように言う人達は、合気道とは
どういうものか、理解できていないから誤解しているのだと思います。
もし道場に見学に来られた方で、『合気道を稽古すると強くなれます
か?』という旨の質問をされたら、私ならばこう答えるでしょう。
『喧嘩や格闘技として強くなりたいのでしたら、空手やボクシング等の
方が早く強くなれますよ』と。加えて『精神的に強くなりたいのでしたら
合気道でも強くなれるでしょう』と言うでしょう。
『なれるでしょう』は、その人の心掛けや、稽古の考え方次第だから。
格闘技として即効的な強さを求めるならば、他の武道をお勧めします。
過去に、我が道場へ入会した後に、上記のような質問をされた方が
おりました。予想通り、いつの間にか来なくなりました。
『合気道は格闘技ではありません』の旨、話したからかも知れません。
稽古する武道、同じ合気道でも流派、それぞれ考え方も異なります。
自分が求める目的に合った武道・流派・会派、自分に合った道場や
先生を見つけて稽古するのが理想的です。
読んでいただき、ありがとうございます。
合気道ブログで日々の稽古を考える。
紹介:札幌で合気道するときは・・・札幌合気道会について