2014年03月17日

合気道は実戦で使えないのか?なぜ試合を行わない?

先日の記事で、少林寺拳法をされている方からコメント頂きました。
私から『少林寺拳法は、当身技が剛法として編纂されていることから
合気道より実戦的かも知れませんね』と返答しました。この内容が
皆様に誤解を与えているかも知れませんので今回記事を記しました。

結論から。
Q1.合気道は実戦で使えないのか?
A1.@合気道を使う者のレベルによる。
     Aそもそも、戦ってはいけない。格闘技ではない。
      合気道は相手と調和・和合するための武道である。

Q2.合気道は、なぜ試合を行わない?
A2.@勝敗に拘ると正しい理合いが身に付かないから。
     Aそもそも、戦ってはいけない。格闘技ではない。
      合気道は相手と調和・和合するための武道である。


【A1-@について】
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1.合気道を使う人のレベルによります。

植芝盛平合気道開祖や塩田剛三先生のような達人であれば、
他の格闘技や武道・武術のプロと渡り合えるレベルだと言えます。

2.実戦で使えるようになるまでは他武道や格闘技より時間がかかる。
  空手の方が合気道よりも、実戦レベルに達するのが早いです。
  合気道ですと、人によっては10年かかっても実戦レベルに達する
  ことが難しいかも知れません。そもそも稽古の目的が、健康のため
  という人も居るでしょうから。合気道の稽古目的でも変わる。

  例:単純に段で比較するのも正確さに欠けますが・・・
  平均的に、合気道初段と空手初段で比較すると、空手初段の方が
  圧倒的に実戦レベルに近いと言えるでしょう。
  しかし、同じ段でも、やはりその人個人のレベルによると思います。

3.実戦レベルに達するのが早い(即効性が高い)武道ほど相手に怪我
  を負わせる確率が高いと言える。即効性と安全性は反比例する。
  相手に怪我を負わせる確率で言えば、合気道技の方が安全である
  とも言えます※。しかし更に反面、怪我を負わせずに相手を制する
  のは、難易度が高いです(要求される技術レベルが高い)。
  ※合気道でも素人相手に手加減なしに投げると、怪我させる可能性
   はあります。難易度が高い合気道であるからこそ即効性は低い。
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※A1-AはA2-Aと全く同じなので、まとめて最後に記します。


【A2-@について】
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試合や乱捕りを行うと、勝敗に拘る為、正しい理合いの習得に妨げが
生じます。体捌きで投げるのではなく、力に頼った技に成る恐れが
あります。

関連ブログ記事:型稽古と乱捕稽古の比較(利点や欠点)

柔道も、最初は柔術の理合いを誰もが気軽に習得できるようにと、
スポーツ化・競技化した訳ですが、開祖嘉納冶五郎の理想と反して、
実際には体格が大きく力のある方が有利な武道に成っています。

小さい者でも、大きい者の力を利用し、技術で力を制すること
合気道を始めとする柔術系武道・武術の究極の理想です。

※合気道は関節技で投げる事が多く、乱捕り化・競技化すると危険な
  状況が考えられますが、そのような点を改善・考慮した武道が柔道
  です。合気道を改善したのが柔道という意味ではありません。
  柔術の投げ(関節)技をそのまま試合や乱捕りで行うのは、危険性
  が高くなるという意味合いです。
  柔道より合気道の方が競技化は難しいのは上記理由からです。

  柔術から合気道や柔道が生まれ、別々の道を辿って来ました。
  後に試合や乱捕りを行う合気道として、富木合気道、合気道SA、
  フルコンタクト合気道などが創始されましたけどね。
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【A1-A 及び A2-A について】
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相手を敵とせず、相手を自分の味方にしてしまうこと。調和や和合が
合気道の理念です。開祖は『真の武は愛なり』、養神館合気道創始者
塩田剛三先生は『合気道で最も強い技は殺しに来た相手と友達に
なることさ』という名言を残しています。相手を受け入れ相手と自分が
一つになることを『全てを愛し敵とせず争わない心を持つことが、宇宙
と調和することを意味する』と表現しています。

関連ブログ記事:
合気道には、格闘技に回帰した流派もある

格闘技から愛の武道へ

また、勝敗を決めると勝った者は気分が良いけど、負けた者は、負の
感情を抱くことになり、これも和合の理念に反することになります。
勝敗に拘らない』のも、合気道の考え方のひとつです。
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記事の最初にある『合気道より実戦的かも知れませんね』と返答した
事につきましては、『合気道よりも少林寺拳法の方が実戦ですぐに
使いやすい武道ですね』という意味です。即効性が高いという意味
です。また合気道は精神修養性が高いというのもA2-Aが理由です。

ネット上では合気道を「弱い武道」、「使えない武道」とか「踊り」とか
揶揄されることが多いです。そのように言う人達は、合気道とは
どういうものか、理解できていないから誤解しているのだと思います。

もし道場に見学に来られた方で、『合気道を稽古すると強くなれます
か?
』という旨の質問をされたら、私ならばこう答えるでしょう。
喧嘩や格闘技として強くなりたいのでしたら、空手やボクシング等の
方が早く強くなれますよ』と。加えて『精神的に強くなりたいのでしたら
合気道でも強くなれるでしょう
』と言うでしょう。
なれるでしょう』は、その人の心掛けや、稽古の考え方次第だから。
格闘技として即効的な強さを求めるならば、他の武道をお勧めします。

過去に、我が道場へ入会した後に、上記のような質問をされた方が
おりました。予想通り、いつの間にか来なくなりました。ふらふら
合気道は格闘技ではありません』の旨、話したからかも知れません。

稽古する武道、同じ合気道でも流派、それぞれ考え方も異なります。
自分が求める目的に合った武道・流派・会派、自分に合った道場や
先生を見つけて稽古するのが理想的です。わーい(嬉しい顔)


読んでいただき、ありがとうございます。

合気道ブログで日々の稽古を考える。

紹介:札幌で合気道するときは・・・札幌合気道会について

2013年10月21日

合気道には、格闘技に回帰した流派もある

前回ブログ記事の格闘技合気道に関する内容に対して思う
ところがあり、再び新しくブログ記事とさせていただきます。
前回ブログ記事:ブログのコメントについて

前回ブログ記事の最後で、合気道SAについて少々補足しています。
この件について、大勢の人の誤解を招いてはいけませんので、
再補足です。SAなど格闘技に回帰した流派は開祖の合気道から
外れているとは思いますが、かと言って、従来の合気道よりも
劣っているとは思っておりません。

また、格闘技そのものが、野蛮で下劣なものとも思いません。
最初は他人を殺すための技術でした。そして多くの人の犠牲が
あり、罪深き業(ごう)の上に成り立っている部分はあります。

本当に戦闘の手段として有効な技術か、どうか試すこと・研究する
事も、あってしかるべきでしょう。先人達から受け継いできた技術
のひとつです。日本ではサムライが柔術や剣術という形で、無駄な
殺傷を回避するように進化させてきたのものです。

世の中から犯罪やテロが無くならない限り、格闘技や護身術等
何らかの戦闘技術は必要です。しかし、即効性の高い格闘技術
ほど相手に与えるダメージが大きいため、過剰防衛に繋がる可能性
があります。☆一番手っ取り早いのは、爆弾や銃などの飛び道具の
使用ですけどね。がく〜(落胆した顔)でも、そんなもの使ったら確実に人を殺します。
世界規模・地球規模ですと、原子爆弾( ̄口 ̄;

護身や逮捕が過剰防衛にならないようにすることは、難しい
ことです。この点につきましては、さらに思うところがあり、
機会をみて、今後の記事に記したいと考えております。

開祖から塩田剛三先生へ引き継がれた合気道(養神館合気道)を、
再び格闘技として再編纂した流派が合気道SAや覇天会です。
格闘技性を封印して、精神性を求めた開祖の合気道に対し、
格闘技として見直しを図る人物が出てきても、おかしくないと思います。

守離破・・・または、守破離・・・。
武道も宗教も、分派・改宗が起きます。
万物が変化・流転する様な現象の一つではないでしょうか?

関連ブログ記事:
守・離・破!
万物は流転する 〜 脱力は進化(退化)なり

ただ、開祖の考えに沿った合気道を行う場合、格闘する時点で、
敗北です。開祖の創始した合気道ではなくなると思うのです。


ネットの掲示板で、「合気道は使えない」とか「弱い武道」などと
揶揄されることが多いですが、上記のような捉え方の違いが
理解できていない為に起こる誤解だと思います。

格闘技として練磨するなら、やはり型稽古だけでは不足だろうと
思います。型と組手(乱捕り)が揃って、初めて車の両輪の如く、
格闘技として成り立つのだと考えます。

関連ブログ記事:型稽古と乱捕稽古の比較(利点や欠点)

本来の合気道と、試合や乱捕り(組手)を取り入れた合気道流派との
違いは、開祖が提唱する合気道の精神性を取るか、実戦で有効性の
高い武術・格闘技を追求するか?といったところではないでしょうか?
みなさんは、どう思われますか?


読んでいただき、ありがとうございます。

合気道ブログで日々の稽古を考える。

紹介:札幌で合気道するときは・・・札幌合気道会について

2012年05月21日

守・離・破!

  『守離破』という言葉があるとおり、武道の流儀も歴史の中で、
変化していきました。

・・・師の教え(流儀)を守り、基本をしっかり身に付けること。
・・・真意を会得すること。
     教えを習得した後、師から離れ研究する。
・・・型に囚われず、自在の境地に入ること。
     教え(流儀)を改変し、新たな流儀を起す。

  合気道でも、色んな考え方が生れ、試行錯誤しながら沢山の流派が
派生したのは、無理のないことだろうと思います。

・柔道のような乱捕を合気道に取り入れた富木謙治師範の
 『昭道館合気道
・合気道の実践性を追求しようとしたSAシュート合気道)は
 養神館合気道創始者塩田剛三先生の直弟子櫻井文夫師範により、
 立ち上げられました。試合を行います。
・さらに、フルコンタクト空手の技術を取り入れた、
 フルコンタクト合気道覇天会』が、合気道SAから派生しました。

  試合や乱捕を取り入れた多くの流派は、型稽古だけでは不足する点
を補うという考えがあるようです。前回ブログ記事でも、型と乱捕の
お話を取りあげました。
☆関連ブログ記事 : 型稽古と乱捕稽古の比較(利点や欠点)

  試合のない型稽古だけの流派も、開祖の合気道から数多く派生
しましたが、「開祖の合気道の多様性を物語っているから」と言われて
います。養神館岩間流心身統一天道流万生館養正館など。

※養正館武道は、合気道と柔道をミックスしたような武道です。
  柔道の師範でもあった、望月稔師範が立ち上げた流派です。

  「この流派が、最も優れている」というのは、無いだろうと思います。
どの流派にも、一長一短なところがあると思います。

  ただ人間には、自分の好みや価値観があります。自分にあった
武道・流派・道場で、稽古できるのが理想だと思いますね。
さらに、良い師範に恵まれれば、この上なく幸せなことです。
自分に合った環境が一番です。

  とは言え、巡り会った職場など、場合によっては、自分が周りに
合わせる必要も出て来ます。合気道そのものが、その最たるものです。


読んでいただき、ありがとうございます。

合気道ブログ|稽古日記 日々の稽古を考える。

紹介:札幌で合気道するときは・・・札幌合気道会について
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